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愛しくて、優しい……人 31

「……たくっ、自分に嫉妬してんじゃねーよ、バカ渚。」 「………は?!」 頬に触れていた橘の手が移動して、少し乱れた前髪を掻き分けるとデコピンされた。 「ちょっ!痛ってーよ!何すんだ!!」 「オレの初恋相手に嫉妬してくれるのは嬉しいけど、それって渚が自分に嫉妬してるようなもんだぞ?」 「へ?!なに?!さっぱり意味わかんねーし!」 「……オレ、前に言ったろ?本気で好きになったのは渚が初めてだって。」 「う、うん。それ今関係なくね?」 「………はぁ………おまえ、ホントめんどくせー」 マジで意味わかんねーし。 こいついっつも回りくどくて、めんどくせーのはてめーだっつーの! 「もうー!はっきり分かるように言えよっ!!」 「はいはい、分かるように言いますよ、バカな渚くんに分かるようにな。」 「バカバカ言い過ぎなんだよ!!ムカつく!!」 俺がムキになってるのをよそに、橘は腰をグッと押し付け軽く突き上げながら言葉を繋いだ。 「ちょっ!いきなり動くなっ…んッ」 「……ッ…オレのがこんなになるのも、泣きたくなるほど好きなのも渚だけだ。それは、オレが初めて本気で惚れた人だから……」 …………もしかして 「オレの初恋は、おまえ────相原渚だよ。」

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