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愛しくて、優しい……人 33
「ちげーよ!!俺のことはいいんだよ、今はおまえのこと!マジおまえの頭ん中わかんねーよ。なんで?なんでモテモテのくせしてそんなに女に興味がないわけ?」
「なんで?そんなの簡単だろ、オレが好きにならなきゃ意味がねーからだ。それに寄ってくる女はみんなオレの外見と金目当てだ。」
「なんか理由の次元が違う気がしてきた………」
女の子みんながそんなわけないと思うけど、なんか俺には縁遠い悩みだな……
「渚がそんな顔すんなよ。別にオレは自分の境遇を否定はしてない。……ただ、諦めてるだけだ。」
「………そ、そう、なんだ。おまえんち金持ちだからな。」
だったら許婚とかいるのかな?
こいつ兄弟いる話聞かねーけど、ゆくゆくは跡継ぎで社長になるんだろうな……
俺と付き合っててもいずれは別れなきゃ……
「渚?どうかした?」
「なぁ………」
「なに?」
聞きたいけど、恐くて聞けない。
「………な、なんでもない。」
今はまだ、こいつとの時間を大切にしたい。
「なんだよ、変なやつ……って、お、おい…ッ……」
だから、自分から抱きよせ思い切り唇を押し付けキスをした。
俺の中にある不安から目を背けるように……
思い切り───……
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