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運命の悪戯 14
「……ッ…んん」
枕の端っこを掴み、顔を埋 め必死に声を殺す。
扱く右手も、揺れる腰も、快感を求め激しさを増すばかりだけど、頭の片隅に僅かに残った理性が俺自身にストップをかけようとしている。
声が外に漏れていないだろうか……
家族の誰かに聞かれでもしたら恥ずかしすぎる。
頭ではそんな事を思っていても、一度加速し始めた身体はどんどん熱くなって、枕を掴む手にも自然と力が入る。
「………ッ…くっ…」
行ったり来たりする俺の理性を簡単にぶった切る妄想の中のアイツ。
『………渚の声、もっと聞きたい…』
耳たぶを甘噛みしながら、扱く手に力を加え、ぞくぞくする低音で耳元から囁かれると……
「………んんッ…あっあっ……」
埋 めた枕の隙間からくぐもった声が漏れる。
指に絡まる先走りでとっくにぬるぬるの俺の右手。
上下に扱く度にクチュクチュと卑猥な音が静かな室内に響き渡る。
………あーもう、ヤバい…かも。
上へ上へと快感がのぼりつめていくのに、あと一歩のとこでイけない。
前ならそろそろイける感覚になるはずなのに。
「………ッ…んん……」
声を出しすぎないように扱き続けながら、必死にアイツがしてくれたのを思い出す。
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