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友達以上、恋人未満 26
ほっしー、望月んち行くって言ってたから会うんだろうな……って、やべっ…何かリアルによからぬ事を考えそうになった。
つか、俺、欲求不満みてーじゃん!!……ダメだダメだ。
「おい、相原?なに顔赤くしてんだ?」
「あいつらが!」
「あいつらって誰だよ」
「う、うううるせー何でもねーよ!!行くんだろ?カラオケ!」
「行くけどさ……」
「お、おう。じゃあ、行こうぜ!!ほら、早く!」
危ない危ない、望月とほっしーのことはぜってーバレたらダメだ!
誰にも言えないだろ、あんなこと。
とりあえず適当に向井をあしらい、代わりにカラオケ朝までコースが決定した。
「ほら、手っ…」
「あ、うん。」
差し出された手を何のためらいもなく握れば、グッと引っ張られ立たされた。
そして誰も居ない薄暗い廊下を二人下駄箱に向かい歩きだす。
キュッキュッと上履きが床に擦れた音がやけに大きく響く長い廊下。
「なぁ?」
「何?」
「俺のこと……慰めてよ。」
俺と手を繋いだまま、一歩先を歩く向井は振り向きざまにそんなことを口走った。
「しょーがねーな。朝まで失恋ソング歌いまくってやるよ。」
それが何の意味を持つかなんて考えもしない俺は、向井のノリに合わせて軽く返事をすると、満足気な笑顔が返ってきて、そしてすぐまた俺に背を向け歩きだす。
それからは二人無言のままで、でもしばらく繋いだ手は……そのままだった。
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