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パンドラの箱 8

俺は……… 取り返しのつかないことをしてしまった。 越えてはいけない一線を……越えてしまった……のか。 まだはっきりそうだと決まったわけではない。 だけど、キスは確実にしてしまったわけだし……それにそれ以上も…… そしてそれが確信へと近づくであろう恐ろしいことを思い出してしまう。 俺、“夢の中”で橘とエッチしてて、 “入れて” …………って、言ったような。 それが夢ではなく現実に発した言葉なら…… 「…………終わ…り…だ」 「何が終わりだって?」 「え………」 俺がシーツの中で落胆していると、至近距離から向井の声が聞こえ、 「おまえ……いつ起きたの?」 仕方なく恐る恐るシーツの中から顔を出すと、俺を見下ろす向井が淡々とそう問いかけてきた。 「えっ…と、ちょっと…前。」 「そっか。じゃあ、聞こえてた?」 「な、な…にを?」 あえてそんな聞き方をしてしまった俺は馬鹿だ。 「俺と………あいつが話してたの。」 「あい…つ……」 「そう、生徒会長の橘…優人」 やっぱり橘だった、のか…… 「つかっ、なんでっ!向井がっ……橘とっ!」 「これ。」 そして徐に俺の目の前に差し出されたのは…… ────俺の、携帯だった。

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