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海より深く 10

何が……分かってないん、だ? 何のことを言われているのか到底分からないから、聞き返したいのに口の中は橘のモノでいっぱいでそれすら出来やしない。 そして、そのまま何も言わなくなった橘の口からは、短い呼吸音が繰り返し聞こえるだけ。 なんか……いつもと違う。 橘が見えないだけなのに、すごく心が遠く感じる気がする。 だけど、その理由を考える暇なんて与えてはくれないかのように更に腰を落とし喉の奥まで突き挿すと、出し入れのスピードは加速しいった。 すでに限界な橘の熱が弾けるのは時間の問題だろう。 だから俺も受け止められるように必死に吸い上げたり舌を絡ませたりしてそれを待った。 それからそんなに経たないくらいに、“離せ”と声が聞こえた気がしたけどシカトして続けていると、ギシギシと軋むベッドとリズムを合わせるように、ソレはすごいスピードで咥内を出し入れされ続け、一層喉の奥まで突き刺された瞬間…… 「…ッ…渚っ…出る…」 その声とほぼ同時に橘のモノが一瞬膨張してすぐ、びくびくと凄い勢いで精液が口の中に吐き出されていった……

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