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「蒼生 、Kneel 」
旭 からの命令 はいつも絶対だ。拒否することなどできやしないし、そんな権利は自分にないと知っている。
場所は放課後の生徒会室。
周りにはまだ数人の男子生徒が残っているが、突然ぺたんと床へと座った蒼生の姿に、驚く者は誰もいない。
なぜなら、彼らはこれからなにが起こるかを知っているから。いつも同じ面子 だから、旭が彼らに指示を出していることに間違いは無いだろう。
藤堂旭 は生まれながらの支配者だ。家柄も良く、恵まれた容姿に立派な体躯を持つ彼は、高校入学時から成績は常にトップで、それをまったく鼻にかけない人柄の良さと、カリスマ性を持ち合わせており、生徒のみならず教師からの人望も厚い。
1年時には生徒会副会長、2年生の今は会長をやっている。
一方、蒼生 は高校3年生だが、標準よりも身長は低く、かなり貧相な体型だ。2年生の半ばあたりから成績はかなり落ち込んでおり、卒業資格は満たしているが、1月に入った今も進路が決まっていなかった。
旭からは浪人しろと言われているから、きっとそうなるのだろう。
(しょうがない。でも……)
この状況は嫌だ……と、思ってしまう己の感情に、完全に蓋をできない蒼生が、わずかに眉尻を下げたのを見て、「不満そうだな。文句ある?」と尋ねた旭は、整った顔に笑みを浮かべた。
視線を逸らして逃げようとすれば、髪を捕まれ、「Look 」の命令が飛ぶ。
目の前に立つ長身の旭に見下ろされ、その冷えた視線を向けられるだけで、背筋を冷たいものが走るが、同時に体の芯が疼いた。それは、生まれ持った蒼生の性 で、抗 いようがないものだ。
「文句があるわけないよな。お前は俺のSub なんだから」
「あっ、あっ」
股間を軽く蹴られた蒼生が声を上げると、「誰が、声を出していいって言った? ってか、もう勃ててんの? これだけ躾てやってるのに、どこまでバカなんだ」と、蔑むように言った旭は、蒼生の髪から手を離す。
ここから先はだいたい同じだ。
『犬のように這って歩け』『靴を舐めろ』など、様々なことを命令され、最後には自慰を強要される。そして、それを見ている役員たちは、動画を撮りながら口々に蒼生を嘲笑 い、罵倒するのだ。
出来なければ躾と称して暴力を受けるため、蒼生の体の服に隠れる部分には、いくつもの痣ができていた。
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