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第15話

今日も撮影の日。カメラの前で分娩台のような椅子に脚を開いて座らされている浬さん。 彼はどこか不安気な表情をしていた。 下半身に掛けられている布のせいで何も見えないが、そこはすでに裸である。 「はーい、じゃあ触りますよ」 そう声をかけて布を取り、恥ずかしそうに顔をしかめたかれを横目に、晒されているフニャチンと後孔をみる。 「それで、ここが痛いんだっけ?」 「っう゛、は、はい」 ローションを纏った指を遠慮なく後孔に入れる。中が熱い。ぐるっと内壁を一周触ったところで指を抜く。 「開いて中見るね。危ないから暴れないように」 「ひらく……!?」 「力抜いて」 肛門鏡をカメラに映し、それを後孔に挿れる。 びくっと足を震わせた彼に「動かないよ」と声をかけ、ゆっくりと穴を広げていく。 「ぅ、あ、きつ……ぅ、」 「うん、よく見える。じゃあ横のモニター見てみようか」 「っ?」 浬さんの横にセッティングされているモニターの明かりがつく。 俺はスタッフに手渡された細長いカメラを持って、レンズを浬さんに向けた。 モニターには驚いた表情をした彼が映っている。 「っ!? な、にこれ……っ」 「今から中の様子を撮しますよ」 「ゃ、やめて、恥ずかしいから、やだっ」 暴れようとしたのを看護師に扮したスタッフが抑えていく。 体を台にベルトで固定された彼は、無理矢理モニターの方に顔を向けさせられている。 カメラで後孔を映してやる。 ぱっくりと開かれたそこにライトを当て、濡れている中がはっきりと映し出される。 「うっ、やだ、やだ……っ!」 「うんと……どんな時に痛い?」 「ひぅ……っ」 細長いバイブを使って、中に触れる。 カメラに映るように、指は使わない。 「ぁ、あ、ゃ、それ、やめ……っ」 「答えてくれないとわかんないよ」 少し主張している前立腺をバイブで軽く撫でると、段々そこの主張が激しくなる。 「あ゛っ、ぁ、だめぇ……っ、それ、おかしい、そこばっかり、触らないでっ」 「あらら、勃起しちゃって」 ゆるゆるとペニスを扱いてやりながら前立腺を刺激すれば、彼はあっという間に射精して固定されている体を痙攣させる。 「射精するんじゃなくて、どんな時に痛いのかを教えてほしいんだけどな」 「うぁぁっ! ゃ、いま、イッたから、やめて、やだ!」 「このボコってしちゃってる前立腺かなあ」 「あ゛ぁぁっ!」 続けて達した彼は、首を振って暴れるけれど、まあ拘束は解けない。 「前立腺かもしれないね。こっちからも触らせてもらうね」 「ひぃっ!」 そうしてペニスを掴み、用意されていたブジーを手に取って先端に近づける。 「ゃ、もう、もうやだ、いいから、やめて、もういいっ!」 「力抜いて、入りますよ」 「あ゛っ! あ、い、や……いやだぁっ!」 するすると飲み込んでいくブジーはある程度進むと抵抗があって、浬さんの様子を確認しながら、奥まで突っ込んでいく。 「ぐぅっ、あ、ゃ、めて……やめてっ、いく、変だから……そこ、むり、そんな奥、無理ぃっ!」 「大丈夫ですよ。──ほら、入った」 「────ッッ!」 爪先までピンと伸びた足。そっと撫でながら後孔の方に戻り、中を確認すれば、前立腺がさっきよりまた少し大きくなっている気がする。 そこに細身のバイブを当てる。 「あ゛ぁぁっ! ぁ! だめぇぇっ! いく、イクイク……っあ゛、い、ぐぅぅぅッッ!」 内側と外側と。刺激されて苦しいようで痙攣が止まらない。おまけに会陰部をぐっと押してやると、乾いた息を吐いた彼はある時一気に脱力した。 カメラが近づいて浬さんの失神した顔を映す。 撮影は止まらなくて、代わりに監督さんからブジーを抜くよう指示が出る。 俺はゆっくり焦らすようにそれを抜いていき、失神しているのに声を漏らして感じている浬さんからギリギリまでそれを抜いたあと、またもやそれを押し込んだ。 それを繰り返しているうちに緩くなってきた穴。一回り太いブジーが差し出される。 「抜くよー」 ブジーを一気に引き抜く。 すると刺激に目を覚ました彼は、思いきり射精すると混乱しているのか荒い呼吸を繰り返してうわ言のように何かを話していた。 「今度はもう少し太いの入れるからね。力抜いててね」 「っ!?」 浬さんが何かを言い出す前に、太いブジーを入れていく。 「お゛ぁぁっ、ぃ、たあ……っ、いた、いぃ……っ」 浬さんの爪先がキュッと丸められる。 これは本当に痛がってるやつだ。しかしセーフワードは聞こえない。 顔を見れば涙を浮かばせていて。 「あぁっ……ぁ、い、いたいっ、ひっ、ひぅ……ぅ、うぇ……っ」 「泣いても入れるよ。ほら、ゆっくり呼吸して、大丈夫だから」 「はぅ、はぁ……っ」 「うんうん、ほら、もう奥まで届くからね」 「ぁ、ゃ、怖い、怖いぃっ」 本気の声だ。 可哀想だけど止められないので、奥まで挿入すると肛門鏡は外し、指を二本埋めるとゆっくり撫でるように前立腺に触れた。 「あっ、ぁ……あ、」 「気持ちいいね。いい子だね」 「ぉ……もっと、そこ、撫でてぇ……」 「うん。このままイクまでこうしてようね」 ああ、可愛い。 泣いているのが、胸にグッとくる。 少しすると浬さんの体が痙攣し始めて、そしてガタガタっと台が大きな音を立て、彼は絶頂していた。 指を抜き、ペニスに触れると顔が歪められる。 「こっちも抜くよ」 「あ、ぁ、」 「はーい、力抜いて」 飛び出ているブジーを掴み、浬さんの顔を見る。 怯えた目をしている浬さんには申し訳ないけれど……とそれを一気に引き抜いた。 「や゛ぁぁっ!!」 プシャッと潮を吹く。 体が動かせないから上手く快楽を逃がせない彼は泣きながらアウアウと喘いで、そのままチョロチョロとお漏らしをしてしまった。 そのまま監督からの指示が出ると、俺は下履きを脱いでバキバキになったペニスを後孔に宛てがう。 「今から中に薬入れますからね。ちょーっと太いけど、大丈夫だから」 「っ、ぁ、ゃ、こわい、」 「はい、入るよー」 「あぁぁっ!」 無遠慮に一気に奥まで入る。 浬さんは律動に合わせて勝手に反応してしまうようで、激しく上下に動かされるたび、ビュッビュッと緩んだ尿道から潮を吹いていた。 「あぁっ……いやぁっ……だめっ……でもっ……あっ、あっ……!」 彼の声は掠れ、涙が頬を伝っている。 次第に律動に合わせて、彼の体がガタガタと痙攣し始めた。 「あっ、あっ、だめっ……あぁっ、いやぁっ!」 浬さんの体から力が抜けていく。 そろそろ限界かなと思い、けれど律動は止めることなく前立腺を強く刺激した。 「あっ、あぁっ……い、いくっ……あぁっ、あぁぁっ!」 全身を震わせ、爪先まで力が入っている。 ガタガタと痙攣して、涙と鼻水に涎で彼の顔はもうグチャグチャだ。 カットもオーケーも出ないので、律動を強めると、彼は喉の奥から声にならない声を漏らす。 「あぁっ……イ、ク……!」 ついに彼から全身の力が抜けた。 腰も爪先も伸びきったまま、大きく痙攣している。 呼吸荒く、涙と涎が垂れて、射精が止まらない。 「んっ……い、いくぅっ……あぁぁっ……」 きつい締めつけに奥歯を噛んだ。浬さんの奥で射精し動きを止めて、ゆっくりと引き抜く。 ぽっかり空いた後孔からはタラタラと精液が零れた。 「──カットォ!」 撮影は終了。 しかしまあ、浬さんはそれどころではない。 急いで拘束を外し、落ちないようにタオルを敷いた床に寝かせるけれど、涙が止まらないらしい。 タオルと水を貰ってぐしゃぐしゃになった顔を拭いてあげると、ギュッと抱きしめられて離れなくなった。 「浬さん、大丈夫?」 「……シャワー、連れてって」 「うん。抱っこするよ」 現場はスタッフに任せてシャワールームに移動する。 体を流してあげると少し落ち着いてきたみたいで、深く息を吐いたあと顔を上げた彼は勢いよくキスをしてきた。 「ん、なに、今日どうしたの」 「ん……」 「撮影始まる前も不安そうだったね」 「……言ってなかったんだけどさぁ」 「んー?」 キスを混じえながら会話を続ける。 床におろして体を撫でていると、かぷっと唇を噛まれた。 「実は今日、なんとなく感じすぎて辛い日だったんだよね」 「え、」 「体が敏感になってた。朝からアレ〜? って思ってたんだけど……」 「……。ねえもしかしてさ……熱ない?」 「えー?」 それを聞いてからなんとなく、浬さんが熱い気がした。 そういえば、指挿れたとき熱かったかも。 「早くシャワーして家帰るよ」 「熱? 俺が?」 「絶対そうだ。だって後ろ触った時熱いなって思ったもん」 「……頭痛いかも」 「ほらあ! 早く洗うよ」 「うん」 急いで中のものを掻き出して、髪と体を洗う。 途中でフラフラになりだした浬さんを何とか支えて家についたころには、浬さんはぐでんぐでんで立てなくなっていて、ベッドに寝かせると一瞬で眠りに落ちていった。 隣に腰かけ、そっと形のいい頭を撫でてやる。 「無理させてごめんね」 気付いてあげられなかったことに反省をしながら、そっと額に唇を落とした。

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