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第14話
「産卵プレイ、してみたいんだよね」
「してみたいってなんですか……」
突然の告白をした浬さんに、千暁は今日も口元を引きつらせていた。
「ちょっと興味無い?」
「無いですね。お疲れ様でした。失礼します」
「おいおいおい、もう少し恋人に優しくしようぜ。恋人がしてみたいって言ってるんだから、嘘でも興味あるふりしなさいよ」
腕を掴まれる。
仕事終わり。事務所から帰ろうとしたところを、たまたま浬さんと会って少し話していた。
すると突然始まった『やりたいこと』の話。
千暁は溜息を吐くと「あのさ、」と冷静に言葉を落とす。
「産卵プレイではなくても、でかいアナルビーズ突っ込まれて捻り出してるでしょ」
「……たしかに?」
「ね? それってもはや産卵プレイと何が違うの?」
そう問いかければキョトンとする浬さんに、思わず苦笑した。
「苦しいことしたいなら付き合うことはできるけど、俺はプライベートではどっちかっていうと……甘やかしたいよ」
「……かわいいね、千暁って」
つい、というように言葉を落とした浬さんに、小さく頷く。
「うん。だから、可愛い俺に免じて産卵プレイはやめよう」
「うん! 俺じゃなくて、那月君にしてもらえば満足だしね!」
「……は?」
「可愛い子が頑張ってる姿ってクるものがあるもんね。今晩空いてるかなあ」
スマホを操作して那月君に電話を駆け出した彼は、ニコニコと楽しそうな顔をしている。
しかし話す言葉は鬼のような内容だった。
□
「こんばんは!お邪魔します!」
「どうぞどうぞ〜!」
午後五時。浬さんに連れられ、彼の自宅に着いて間もなく、やってきたのは哀れな男の子、那月君である。
「那月君……なんで来ちゃったかな……」
「え……?いや、産卵プレイするから手伝ってって言われて来たんです」
「それで来るなんて君も大概だね……」
というか、まさか浬さん──
「産卵プレイするの、那月君だって聞かされてない?」
「えっ!?」
驚いている那月君は、ジッと浬さんを見て、不安そうにしかし柔らかく微笑んだ。
「か、浬さん……?」
「あれ……俺言ってなかったっけ……!」
「手伝ってとしか言われてません……!」
「……まあ、手伝ってもらうのは事実だし……」
あんぐり口を開けている那月君の腕を掴み、トイレに連れていった浬さん。
しばらくすると二人がリビングに戻ってきた。
「ということで、早速初めよっか」
「本気でやるんですか。……那月君はいいの?」
「っ、はい。自分の新たな魅力を、見つけます!」
「……そのままでも可愛いけど」
ベッドに移動し、四つ這いにさせた那月君の後孔に指を入れる。
見ているだけのつもりだったが、浬さんに一緒にしようねと言われてしまうと断れなかった。
ゆっくり丁寧に中を広げ、感じるところを刺激してやれば、那月君はすぐに蕩けてしまって、脱力してお尻だけを高く上げたまま細かく震えている。
「あぅっ、は、はぁっ、あ……っ」
「もう柔らかいけど……」
「じゃあ交代!」
指を抜けば、代わりに浬さんが那月君の後孔に指を入れて、中の具合を確認するとローションで濡れたアナルビーズを手に持った。
「ちっちゃいのからいくよ」
「ぅ、は、はい……、っ、んっ!」
どんどん飲み込んでいくそこ。
途中苦しそうに床を足で蹴った那月君は、腕を突っ張ってお腹に力が入らないように四つ這いのまま荒い呼吸を繰り返している。
「はっ、はぁ、はぁ……っぁ、く、るし、くるしい、出したい……っ」
「まだあと二個あるよ。頑張って」
「あ゛、むり、むり、まって、は……ぅ、奥、ここまで、来てるから……っ」
「力抜いて深呼吸して。そしたら奥も開くからね」
「〜っ、ぁ、だめ、ぅ……あ、ち、あきさ、千暁さんっ」
名前を呼ばれて那月君の前に行けば、彼は涙を流しながら俺に手を伸ばし、ギュッと首に腕を回してきた。
上体を起こすと少し楽なのだろうか、耳元で苦しそうに唸る声に体が反応しそう。
「はい、あと一個〜」
「う゛、お、きい……っぁ、ぅぅ……っ!」
足をバタバタさせつつも飲み込んだ彼は、たくさん汗をかいていて可哀想だ。
浬さんに指示されるがママ、那月君を仰向けにさせて自分の胸にもたれ掛からせると、両足を抱えてやりそこが全て見えるような体勢にする。
「はーい。じゃあいきんでみようね」
「っ、は、はぁ……ぁ、お、おお、きい……っ」
浬さんはニコニコして、那月君が力を入れる度に顔を出そうとするアナルビーズを見ている。
「ぁ、やぁ、ぁ、ぁ、で、る……っぁ、でる」
何度目かいきんだ那月君のそこから、ポコッとひとつ玉が捻り出され、連なるようにそのままポコポコとそれが産まれていく。
「あ゛っ、ぅ、あぁぁ……っ!」
「! ぁ、浬さんタオル」
「あらあらぁ」
膀胱が刺激されたようで、チョロチョロと漏らしてしまっている那月君は、苦しさから解放されたからかホッとしたような、ぼんやりしたような、そんな表情で宙を見ていた。
濡れていく彼のお腹にタオルを置く。
最後のひとつが出ていくと、ぽっかり空いた穴がクパクパと開いては閉じている。
「物欲しそうだねえ」
「ぁ、ん!」
指を入れた浬さんは、ニッと笑うと那月君に顔を寄せた。
「那月くーん、ちんちん挿れていい?」
「ぅ……? ちんちん……ぁ、い、いい……です……?」
「わあーい」
ゴムをつけた浬さんは遠慮のえの字もなく、ペニスを挿入すると「ふわふわだねえ」と満足そうにしている。
「うっ、ぁ、あ、あぁっ、き、もちぃ……っ」
「うん、気持ちいいね」
「……」
そんな二人の様子を黙って見ていたけれど、なんか、なんでだろう。なんとなく……
「疎外感……?」
「ん? なに、千暁」
「いや」
俺って浬さんと恋人同士なはず。
まあ、こういう仕事をしているわけだし、那月君に関しては可愛い後輩ではあるし、浬さんも那月君もネコだし、浮気だとかそういうことは微塵も思わないんだけど。
「あぅ……ち、ちあき、さん……っ」
「……なあに」
弱々しい声。そっと頭を撫でてやれば、那月君はへにゃっとどこか泣きそうな顔をして、俺の反応している股間を撫でた。
「ちんちん、ください」
とろり、蕩けた甘い顔。
色々考えていたのだけれど──
「ま、いっか」
「? ぁ、だ、だめ? ちんちん……」
「ダメじゃないよ。舐めて」
前を寛げてそれを取りだし、那月君の口元に持っていく。
彼は嬉しそうに先端を舐めると舌を伸ばし、首を反らせた。
ああ、なるほど。
ゆっくりと口の中に挿れていく。
那月君の喉がボコっとして、ここを通ってるよとそこを撫でてやると、キュッと喉が締まる。
「ぐ、ぅ……ぶっ、ふ……ぉ゛……」
「あー、締まる締まる、気持ちいい」
「千暁ったら鬼畜ぅ」
「だってしたそうだったし。上も下も気持ちいいね」
奥まで入れてそこで止まると、那月君が太腿を叩いてくる。
ゆっくり抜いてやれば顔を真っ赤にして、息が整うともう一度口を開けて強請ってくるから、どうしようもない変態だ。
「那月君、最初はあんなに怖がってたのにね」
「お゛ぅ、え゛ぇ……っ、ぅ」
「こんなに変態になっちゃって、可愛い」
相変わらず浬さんは那月君とのセックスを楽しんでいて、わけも分からなくなっているのか、那月のは潮を吹いて足を痙攣させている。
「あー、出る」
「ん、俺も、」
浬さんが小さく息を飲む。
俺は那月君の喉の奥に射精すると、ずるりとそれを抜いた。
フーッと息を吐いて那月君を見れば──
──彼は白目をむいた状態で失神していて、俺と浬さんは深く深く反省したのだった。
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