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ほろ酔いサイダー3

「イギリスのりんごのビールみたいなやつだよ。ビールとはまた違うんだけどね」 「うぉっ、まじか」 「知らないで頼んだのか」 「だって胃袋が欲してたから」  そうは言ったものの、俺はビールだけはほとんど飲めない。多くの人が喉越し云々と言っているが、その前に敏感な舌がその味を無視できずに不快感だけが残ってしまう。だからものぐさなとき以外は別のものを注文している。 「お待たせいたしました」  八人分のドリンクが一気に運ばれ、適当にテーブルへ乗せられていく。バケツリレーの要領で次々と回していく。  最後のボトルが置かれ、それが俺のところまで回ってきたところで、宏介が最年長の先輩に声を掛ける。 「安定の乾杯の音頭をお願いします」 「え~、しょうがないな~。それでは皆様、お手に飲み物を……。かんぱ~い!」  テーブル毎にドリンクを鳴らし、それぞれ味わいながら飲んでいく。

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