20 / 214
ほろ酔いサイダー20
「宏介、どこ行くか決めてるのか?」
「いや。適当に良さげなところを見て決めるつもり」
下調べしていそうな宏介が意外にも行き当たりばったりであった。きっと、この人混みだと目星を付けていたら時間が足りないのであろう。
俺たちは人が少なそうな店に向かって歩き出す。よく見ると、あまり人がいないで必死に呼び込みをしている店もある。
宏介はそんな店へと向かい始め、俺もそれに付いていく。
「いらっしゃいませー。当店自慢のソーセージはいかがですかー?」
やたら元気な女子が呼び込みをしている。イベントのためのスタッフだろうか。彼女の横でメニューを眺める。どの食べ物にも、謎のものが付いている。
「ザワークラウト?」
「酸っぱいキャベツ、漬物みたいなものだよ」
ともだちにシェアしよう!