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プライステイスト5

「コウ、見て! 高いワイン頼んだからね!」 「どうせ無駄遣いになんだろ」 「そんなことないもん!!」  これ以上口で反撃できないと察したタクトは、ラップトップを抱えたまま部屋から飛び出していった。 「はぁ……」  溜め息を付きつつも、タクトの姿を確認しないコウ。その場でゆっくりとワインを飲んでから、読みかけの本に再び手を伸ばす。  内容が頭の中に入っているのか傍から見たら分からないが、淡々とした勢いでどんどんページを捲っていく。  しばらくすると、最後のページに辿り着いたようでその手で本が閉じられた。  その間、グラスの中身は一滴も減らなかった。  意識がようやくそちらへと戻っていったのか、味わう素振りもなくグラスに残っていた中身を一気に飲み干した。それからボトルの中身を注ぎ足したが、数口程度でこれ以上入ることはなかった。

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