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プライステイスト9

 改めて並べられる高価なものに、感嘆の声が漏れる。この光景がタクトの余計に心を踊らせ、鼻歌交じりにテーブルの上を片付けていく。  箱を閉じた状態に戻し、カッターを持って立ち上がる。カッターは元の場所に、箱は彼の自室へと、それぞれ移動させていった。  空いた手は部屋からエプロンを探し、見つけると身に付けながら出て行った。  そのままキッチンへと向かい、丁寧に手を洗う。よし、と意気込んで冷蔵庫の前に立ち、事前に買ってあったものを取り出していく。  鶏肉、白身魚、トマト、レタス、レモン、にんにく、ローズマリー、すでに混ぜ合わせた調味料。それらを手にして広い調理台へと移動する。  次に、シンクの斜め上にある棚から塩、胡椒、その真下からはオリーブオイルを手にとって食材の横に並べる。  それから、包丁、まな板、ボウル、ザルを取り出して中央に並べていく。  そうして準備を整えると、まず白身魚を手にする。皮を丁寧に剥がしていき、身を一口大に切っていく。切り終えると、ボウルに混ぜ合わせた調味料と切った魚を入れて味を染み込ませるように揉み込んでいく。  しっかりと全体に混ざったところで包丁と手を洗い、ラップを掛けて冷蔵庫へと戻していった。  再び戻ると今度はレタスを一枚一枚剥がし、まだ切っていないトマトと一緒に中に入れる。それらを水で洗い、ある程度水気を切ってからまな板の横まで戻し、トマトを食べやすい大きさに切ってから置いておく。

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