80 / 214

プライステイスト37

 先ほどとの変わりように若干呆れながらも、内心喜びながら言われた通りに片付けていくコウは、ムースの入っていたカップを重ねたところにスプーンを入れていく。コーヒーの入っていたカップとまとめて運んでいく。  昨夜洗ったものはすっかり乾いており、先に食器棚に戻してから手早く新たなものを洗っていく。  給湯器の音声が部屋に響き渡り、湯を張っていることを知らせる。その間に二人はそれぞれの部屋に戻り、着替えを探す。  手早く選んで部屋に戻ってきた二人。タクトが無言で洗面所へと促し、二人で向かっていく。  タクトが引き出しの一つを開け、その中身を見せる。 「コウ、どれがいい?」 「おまっ……何買い込んでんだ」 「楽しそうだからつい。ねぇ、どれがいい? 炭酸とか温泉、ワインもあるよ」  固形の入浴剤をいくつか取り出し、それをコウに見せる。本当に色々あるな、と半分関心しながら眺めていた。  しばらく考え、コウの手は赤系の包装のものを手に取る。 「やっぱワインだな」

ともだちにシェアしよう!