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プライステイスト37
先ほどとの変わりように若干呆れながらも、内心喜びながら言われた通りに片付けていくコウは、ムースの入っていたカップを重ねたところにスプーンを入れていく。コーヒーの入っていたカップとまとめて運んでいく。
昨夜洗ったものはすっかり乾いており、先に食器棚に戻してから手早く新たなものを洗っていく。
給湯器の音声が部屋に響き渡り、湯を張っていることを知らせる。その間に二人はそれぞれの部屋に戻り、着替えを探す。
手早く選んで部屋に戻ってきた二人。タクトが無言で洗面所へと促し、二人で向かっていく。
タクトが引き出しの一つを開け、その中身を見せる。
「コウ、どれがいい?」
「おまっ……何買い込んでんだ」
「楽しそうだからつい。ねぇ、どれがいい? 炭酸とか温泉、ワインもあるよ」
固形の入浴剤をいくつか取り出し、それをコウに見せる。本当に色々あるな、と半分関心しながら眺めていた。
しばらく考え、コウの手は赤系の包装のものを手に取る。
「やっぱワインだな」
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