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秘密の味32
それでようやく攻撃的な意識は修まったようで、見た目からもこれ以上何かをしてくる様子は見えなかった。
「俺は特に何もしてないよ。寝やすいように電気消したくらいかな」
「そっちじゃない」
「何のこと?」
何を言いたいのかは分かっているが、俺は敢えて言わないようにした。この人に言わせたいからだ。
無言で見つめ合う姿勢はしばらく続く。
「……ら」
「……え?」
「ひ……膝枕のことだ!! 勝手にやってんじゃねーよ」
「えー。カナさんからだったよ」
えっ、と小さな声で驚きを露わにし、再び静止した。自分から行動するなんてあり得ないといったところだろう。
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