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秘密の味37
しばらくすると、盛大な溜め息から長々とした説教が始まる。毎度同じことを言っているような気がして正直耳に入ってこない。
立ったまま反省しているように見せかけ、頭の中を空っぽにしながらただ立っている。
早く終わらないかな、と考えているうちに、何だか空腹感がやって来たような気がする。
ちらりと時計の方を見ると、まだ朝食というには十分な時間であった。
「おい、聞いてるのか!?」
「聞いてるよ。だからさ、このまま一緒に朝ごはん食べに行こ」
「は?」
「食べるのが大事なら、食べに行った方がいいと思うよ。ほら、行こ行こ」
腕を引っ張りながら立ち上がらせる。強引なその方法でなんとか立ち上がったようだったが、よろけてしまった。
俺はすかさず全身でその身体を抱きとめる。そしてそのまま再び抱き締める。
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