130 / 214

いつかのさけ4

 そしてようやく決めたところで、店員がお通しと酒を持ってやって来た。 「こちらお通しになります。こんにゃくの煮物でございます」  唐辛子が少し入ったそれは、程よい辛みがしてきそうな煮物であった。  その光景に目を奪われている桂木であったが、メインはこれではなかった。  枡が置かれていき、その中へグラスが置かれる。そして酒の入った大きな緑色のボトルが四人の前に置かれる。 「こちら、本日のおすすめの七力(しちりき)でございます」  ボトルを開け、グラスの中へ注がれていく。溢れ出したものは枡が受け止めていき、少しでも動かせば溢れてしまうところでようやく止められた。  四人分注ぎ終えたところで、店員は立ち去ろうとした。 「すみません。注文してもいいですか?」  岡崎はそっとメニューを取り、四人で選んだものを注文していった。そうしてようやく店員は去っていった。

ともだちにシェアしよう!