156 / 214
いつかのさけ30
指でその大きさを示す。鍋の中身が入った器よりも小さなその大きさは、結局岡崎に伝わっていなかった。
岡崎も同じように指を広げてみるが、それでも分からないようで首を傾げていた。
「んー、よく分からん。夏だったからそれっぽくしたのかな?」
「多分そうっす。俺、思わずそれ買いましたね」
「桂木ってそういうもの好きだな。しかも写真に撮ると面白いし。俺はそのセンスが羨ましいと思ってるよ」
「これでも結構続いてる趣味なんで。料理だって上手く撮れると思いますよ」
そう言いながら、指でカメラを構えるポーズをしてみせる。その中央には岡崎を覗き込ませていた。
「俺を撮ったってしょうがないだろ」
「そんなことないっすよ。一緒に楽しく食事をしてる気分になれますって」
ともだちにシェアしよう!