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いつかのさけ43

 そのまま全員食べ終わり、各々が残りの酒を嗜んでいた。 「ふぅー。美味かったー」 「桂木も満足そうで嬉しいよ。また来てくれよ」 「そりゃもちろんですよ。店っていつも違うんすか?」 「そのときの気分で変えてるな。この店は俺のお気に入りだ」 「こんなに美味ければ俺もっす」  再び二人の会話が広がっていくが、酒がもうほとんど残っていなかった。  それに気付いた片倉と若松も、飲むペースを少し早めて合わせていく。そろそろお開きになると察していたようだ。  最初に飲み終わったのは若松だった。自然に飲み終わったように装い、そっとグラスをテーブルに置く。 「……ごちそうさまでした」  ボソリとそう呟き、もうこれ以上食べないということを示した。  その次に片倉、桂木が飲み終わり、最後は岡崎という順番になった。

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