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いつかのさけ42

 合間に酒を挟み、少し休憩する。果物のような甘みの強いそれは、まるでデザートのようなものである。鍋とは違う刺激が、またそれで桂木には心地よかった。  そして再び鍋を口にして全てたいらげると、全員分よそい終わっていた。  桂木はおかわりのために自らよそっていく。すると、岡崎も同じことを思ったようで待っている様子だった。 「岡崎さん、俺がよそいますよ」 「ありがとな」  遠慮なく、と差し出されて同じようによそっていく。すぐによそい終わり、器を返す。 「残りは……若松が食べるか?」 「もちろん」 「了解」  桂木はお玉を若松の方に向けて置き、よそったものを口にしていった。  美味い以外の言葉がほとんど出てこない四人。その表情は幸せが溢れている。

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