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ロマンティック・プランク10

 仕方がない様子で酒を飲んでいると、料理が運ばれてきた。  それは杏里が頼んでいたサラダで、二人分の取り皿と一緒に運ばれてきた。  柊は自然とすぐに手を伸ばし、杏里の分を取り分けていた。 「どうぞ」 「……ありがとう」  杏里は小さな一口を食べていく。酒を求めるような濃い味付けは、杏里の心を一気に引き寄せた。夢中になって次を口の中へと入れていく。  すっかり緊張感のなくなった姿に安堵した柊。少量を取り分けてゆっくりとその味を体感していき、合間に酒を少し挟む。  彼が半分食べ終わったところで、子どものように食事を楽しんでいた杏里がおかわりを求めて皿の方を見た。 「あれ、柊さん食べないの?」 「杏里くんが美味しそうに食べてたら、杏里くんに食べてもらいたいなって思ったんだ。もっと食べるかい?」 「……いいの?」 「いいよ。遠慮なくどうぞ」

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