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ロマンティック・プランク12
早速一切れ柊が取り、チーズを伸ばしながら食べていく。シンプルな味わいであるが、チーズの濃厚さが口の中に溶けていく。
彼の口は思わず緩んでいた。
そんな意外な姿を目にした杏里。最後の一口を掻き込み、柊を喜ばせたピザをいそいそと手にする。
濃厚な味わいに隣の柊と同様の反応を示し、しばらくその場で動かなかった。
ようやく動き出したときには、次の一口、またその次を、と勢いを増して頬張っていた。
柊が二つ目を食べようとしたところで、杏里は三つ目を食べ終えた。
「杏里くん、もっと食べていいよ。それとも、別のものがいいかな?」
「りょ、両方じゃ、ダメ……?」
「それでもいいよ。杏里くん見てたら、僕ももっと食べたくなっちゃった。何がいい?」
「フィッシュアンドチップス。いい?」
「うん、いいよ。……そろそろ新しいお酒も頼む?」
「う、うん」
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