204 / 214
ロマンティック・プランク33
熱いと感じるようなそこから、やけに速く脈打つ鼓動が響いてくる。
平常通りではないのは、自分も同じであるということをはっきりと示していた。
「僕だって緊張はするからね」
「柊さんは、いつもかっこよくて、しっかりしてて、そんな風には見えなかった……」
「そう見えるように頑張ってたからね。特に、大好きな杏里くんの前では」
「柊さん……」
頬を赤く染め、潤んだ瞳で柊の顔を見つめる。その顔はニコリと微笑み返し、ゆっくりと近付いてくる。
杏里は思わず目を閉じて少し近付けて待ち構えていた。
思い浮かべていた感覚は予想していた場所にはやって来ず、額に押し付けられるような感覚がしてすぐに離れていった。
突然の出来事に驚き、杏里の目はパッと見開かれた。
ともだちにシェアしよう!