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ロマンティック・プランク32

 そんな姿をからかうようにしつつも、柊の手は優しく包み込みながら温もりを感じていた。  宣言通り触れるだけでじっと動かないおかげで、杏里はじっくりと柊の温もりに触れていた。それは杏里の緊張感をゆっくりと解していっている。  ようやく慣れたところで、杏里の手が自らを抱き締めている柊の手へと向かっていきそのまま指を絡ませながら重ねられていく。  知っているはずの温もりなのに、何だか初めてのように感じている杏里。  鼓動が早くなっているのを感じ、柊に気付かれないように一定の距離を保とうとしている。  だが、柊にはそれがすぐに気付かれてしまった。 「あれ、杏里くん緊張してる?」 「そっ、そんなこと……」 「隠さなくてもいいよ」  柊の空いている手が杏里の頭を抱き寄せ、自分の胸元へと押し付けていく。

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