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ロマンティック・プランク43
そんなことを思い浮かべながら店の前を観察する。
青を全面的に押し出し、心を静かにしてくれるような印象を与える。
杏里の目にはそう映っていた。
「杏里くん、どうしたの?」
「ううん。昨日はあんまりじっくり見えなかったから、見てるだけだよ」
「あぁ、そっか。昨日は遅かったし、僕がすぐに入っちゃったからね」
「お店の外もいいね。柊さんみたいに落ち着く」
「ありがと」
柊はメニューと杏里のことを交互に眺めながら、杏里が満足するまで待つ。
しばらくすると、杏里はようやく隅々まで堪能した様子で柊の方へと向く。
「おまたせ。もういいよ」
「うん。それじゃ、中に入ろうか」
そう言って柊が店のドアを開けると、静かな店内には来客を伝えるベルの音が静かに響き渡っていった。
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