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ロマンティック・プランク42

 時折見える仕草は、笑顔だけでなく恥じらいや喜びも含まれている。  それは信号が変わって歩きだしてからも変わらず、ただひたすら楽しいという感情が二人の中にあった。  昨日の杏里とは似ても似つかない状態で、緊張感が一切感じられなかった。  柊も、今まで秘めていた想いを全て吐き出していたせいか、やけに饒舌で柔らかい表情である。杏里はそのことに一切気付いていないようである。  駅前を通り過ぎ、いくつか交差点を渡ったところで、再び人通りが少なくなっていった。  街路樹の雰囲気が少し変わり、落ち着いた雰囲気になっていく。  店の並びが少しずつ減っていくが、薄暗くなっているこの時間帯では、どの店も看板によって明るく照らされていた。  杏里はそれを眺めながら歩いていく。チェーン店ではない店が並び、どれも個性があって彼にとっては目新しさがあった。  そうしてしばらく歩いていくと、昨日来たばかりの店の前へと到着した。  昨日の記憶を思い出し、店内の風景を思い浮かべる。  青い光を基調とした店内は、とても落ち着いた雰囲気であり、まるでピアノの生演奏を聴きながら楽しめるような場所であった気がした。

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