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第二章・6
何も知らない蓮は、巴に勧められるままマンションへ引っ越した。
荷物は、段ボール箱に2つだけ。
簡単に、終わってしまった。
「でも、僕……」
不釣り合いじゃないか、と思うほどの、立派なマンションだった。
家具はすでに入れられており、クローゼットには服もずらりと並んでいた。
試しに羽織ってみると、蓮にぴったりだ。
「加賀さんが、用意してくれたのかな」
ぽっ、と彼の笑顔が浮かんだ。
会いたいな。
会って、お礼が言いたいな。
そう思った時、玄関のベルが鳴った。
慌てて出てみると、そこには会いたいと思っていた巴が立っていた。
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