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第三章・4
「加賀さん。お肉、焼けました。食べてください」
「え? あ、ありがとう」
和気あいあいとバーベキューをする中で、蓮が初めて巴に皿を渡した。
(……感動だ!)
推しが、私のために焼いてくれた肉!
肉の写真を撮りたかったが、変な大人だと思われたくはない。
巴は、じっくり味わって蓮のよそってくれたそれを噛んだ。
「美味しいですか?」
「うん。うまい」
良かった、と輝くような笑顔をくれる、蓮。
巴は、気が遠くなりそうだった。
踏みとどめたのは、蓮の一言だった。
「加賀さん。今度、僕のマンションで一緒にすき焼きしませんか?」
「ん、あ、え。い、いいのか?」
「加賀さん、服だけでなく、食材もたくさん準備してくださってたでしょう」
マンションのフリッジには、卵や乳製品、魚に肉、野菜など、いろいろな食材が詰まっていた。
簡単に食べられる、レトルトも置いてあった。
「黒毛和牛700グラム、なんて一人じゃ食べられないから。良かったら、一緒に」
「喜んで、うかがおう」
即答だった。
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