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第三章・3
思えば、油断していたのだ。
今にも解けそうな腰巻を気にしながら動いていた蓮だったが、巴に笑顔を向けてからは大胆になっていた。
そろそろ撮影も終了、という時に、ノイバラの棘に取られて腰巻が解けてしまったのだ。
「あ!」
白い肌が余すところなく日にさらされ、その姿は巴の目を激しくとらえた。
透明感のある、清々しい色香だった。
恥じらい、前をそっと隠す姿も奥ゆかしい。
(れ、蓮! たまらないぞ、その姿は!)
のぼせて、鼻血が出そうだ。
目が離せないでいると、蓮は落ち着いて腰巻を元の通りに巻いてしまった。
「今のは、ちゃんと撮ったのか?」
「バッチリですって」
五木も、満足げな表情だ。
明るく蓮に声を掛けた。
「お疲れ様! 篠原くん、服を着て来て。せっかくだから、バーベキューやって帰ろう!」
喜んで着替え用のテントに駆け込む蓮を見ながら、五木は巴に笑顔を向けた。
「良かったら、加賀さんも」
「いいのか?」
「篠原くんも、喜びますから!」
その言葉は、巴の胸を弾ませた。
(蓮は、私に好感を持ってくれているのか)
それは、嬉しいことだった。
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