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第三章・2
「最初は、これで撮るから。慣れてきたら、脱いじゃってよ」
「慣れるかなぁ……」
南の国の民族衣装のような腰巻を付け、蓮は草原に立った。
木にもたれてみたり、しゃがみこんでみたり。
走ったり、花を見つけてみたり。
撮影は進むが、五木は今一つ乗りの悪い蓮を気遣った。
「篠原くん! 加賀さんに向かって、笑って見せて!」
「え!?」
加賀さん。
軽く手を上げ、こちらに向けて振ってくれるその姿。
そうだった。
加賀さんが、見てくれてるんだった。
蓮は、精いっぱいの笑顔を彼に向けた。
「いいね、その笑顔! その調子!」
巴のおかげで緊張のほぐれた蓮は、その後の撮影をこなしていった。
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