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第三章・6
スカシユリに、クレマチス。
アルストロメリアに、アルケミラに、利休草。
初夏のフラワーアレンジメントを携えて、巴は蓮を訪ねた。
「いらっしゃい……、うわぁ! きれい!」
「おみやげだ」
「ありがとうございます。すごく、嬉しいです!」
喜ぶ蓮を見て、巴は嬉しくなった。
(花などキザかと思ったが、贈ってよかった!)
準備、できてます。
そう言うと、蓮は巴をダイニングにいざなった。
「掃除手入れが行き届いてるな。君に貸してよかった」
「撮影が無い日は、暇なんです」
「何か、趣味は無いのか? ジムに行く、とか」
「ジムかぁ。いいですね。行ってみようかな」
そこで巴は、自分が通うジムを紹介した。
「希望すれば、マンツーマンでコーチが付いてくれるぞ」
「コーチ、ですか」
できれば僕は。
「加賀さんに、コーチして欲しいな……」
「え!?」
「え? あ、ご、ごめんなさい!」
心の声が、正直に出てしまった!
「肉、焼きますね」
慌ててその場を取り繕い、蓮は料理に集中した。
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