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第四章・2

 指を組んで頬杖をつき、浮かない眼差し。  そんな巴に、蓮は炭酸水を差し出した。 「良かったら、飲んでください」 「蓮。私は……」 「僕、加賀さんのこと、今まで通りに見ますから」 「……怖くは、ないのか?」  びっくりしました、と蓮は正直に答えた。 「でも、もうヤクザさんじゃないのなら。それなら、大丈夫です」 「ありがとう、蓮」  顔を上げ、巴は蓮の表情をうかがった。  そこには、素直な笑顔があった。  ああ、この少年は。  本当に、今まで辛い思いをたくさんしてきたに違いない。  でなければ、人にこんなにも優しくできるはずがない。 (どうしよう。抱きしめたい!)  しかし、正体を明かした上に、急に抱いたりすると、今度こそ不信感を与えてしまうだろう。 「蓮」 「はい」 「その、握手をしてくれないか」 「いいですよ」  蓮の手は、小さくて薄くて、温かだった。

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