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第四章 二人の想い

 巴の後でシャワーを使いながら、蓮は考えていた。 「お風呂から上がったら、加賀さんに何て言えばいいんだろう」  実は、その正体は極道だった巴。 「あ、でも。もう『足は洗った』って言ってたし……」  もう、極道ではないから。  だから。 「だったら、今まで通りに接してもいいんじゃないかな」  バスタブに身を沈め、蓮は我が身を振り返った。  オメガだから、と差別されてきた日々。  施設育ちだから、と仲間外れにされてきた日々。  人に辛く当たられる悲しさを、嫌と言うほど知っている。 「加賀さんも、僕がこれを機によそよそしくなったら、辛いよね」  決めた、と蓮はバスから上がった。 「僕は、今まで通りに加賀さんとお付き合いしよう」  部屋着に着替えてリビングへ行くと、巴はソファに前かがみに掛けていた。

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