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第四章・6
『脚本があると、緊張しちゃいそうなんで。最初はただの絡みで行こうと思ってるんです』
「か、絡み?」
『男優をもう一人準備して。エッチな……』
「それは確定か!?」
巴の勢いに、五木は少し表現をやわらげた。
『もちろん、スポンサーの加賀さんから要求があれば、改変しますけど?』
「そうか。では、絡みは……」
『ただ、そういう動画が撮れないとなると、篠原くんの人気もここまでかなぁ、って』
「うっ……」
痛い所を突いてくる。
推しの人気は、高い方がいいに決まっている。
「五木」
『はい』
「その。なるべく彼のイメージを壊さないようにな」
『任せてください』
それで、通話は終わった。
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