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第七章・4
映画。
映画と言っても、いろいろある。
五木は、百歩譲って考えた。
「つまり、その。篠原くんを、アダルト映画に出演させて欲しい、と?」
「いや、違う。できれば、しっとりとしたヒューマンドラマにして欲しい」
加賀さんは一体、何をどうしてこんなことを言ってるんだ!?
その問いには、彼本人が語り始めた。
「実は、もう蓮には絡みの動画を撮らせたくないんだ」
「ああ、そういう……」
「本人は、平気だ、と強がってはいるが、内心傷ついてる」
「そうでしたか」
「だが、俳優業はやりたそうなんだ」
「なるほど」
だから、と巴は語調を強めた。
「蓮を主演に、ヴァニラ・クリエイトで映画を作ろう!」
作らないか? が、作ろう! になっている!
五木は、慌てた。
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