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第七章・6
映画を作る。
「僕が主演で、ですか!?」
蓮は、五木に話を聞いて驚いた。
「ダブル主演の形で、ベテランの俳優さんにも出演してもらおうと思っているんだけどね」
新人で無名の蓮だけでは、お客が呼べない。
そう考えての、五木の案だった。
「原作は、人気作家の小説を使わせてもらって。音楽も、著名な方にお願いして」
「あの、五木さん」
「何かな?」
「こんなこと言っては何ですけど。お金は……」
どう見ても中小企業の、ヴァニラ・クリエイトだ。
逆さに振っても、そんな資金は落ちて来なさそうなのに。
「実はこれ、加賀さんが持ち掛けてくれた話なんだ」
「巴さんが!?」
「億単位で出資してくれる。君は、お金の心配はしなくてもいいんだよ」
いい演技を。
それだけが、蓮の使命だ。
「加賀さんを唸らせる、いい演技を、ね」
「五木さん」
「そうと決まれば、篠原くんにはみっちり特訓してもらわなきゃね」
撮影に耐えられるだけの、体力づくり。
芸能スクールに通って、演技の勉強。
「忙しくなるよ、篠原くん!」
「はい!」
蓮の胸は、期待に満ちていた。
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