70 / 80
第九章・2
「蓮、いよいよ明日が舞台挨拶か」
「はい!」
「張り切って行けよ?」
「もちろんです!」
浮き浮きと、巴の作ったパスタを食べる蓮。
その姿を、巴は目を細めて見ていた。
ずいぶん、逞しくなったものだ。
体も、心も。
「今夜、泊っていってもいいか?」
「いいんですか!?」
嬉しい、と蓮は笑う。
「明日が大切な日だから、エッチは一回だけだ」
「意地悪です……」
それでも、蓮は嬉しかった。
映画の撮影があっている間は、会うことすらままならなかったのだ。
こうして、巴の手料理をいただくのも、久しぶりだ。
ご機嫌な、蓮だった。
ともだちにシェアしよう!