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第九章・11
「蓮」
巴は、蓮を抱きしめた。
あの、小さくて震えていた蓮が。
こんなにも眩しく輝いて、私の胸を熱くする。
「確かに、今の君にはもう、私の庇護など必要ないのかもしれないな」
「巴さん」
「先にプロポーズされてしまった。何とも間抜けな話だ」
「巴さん、じゃあ……」
「結婚しよう、蓮」
蓮もまた、巴の体に腕を回した。
抱き合い、キスをし、甘い息を吐いた。
「蓮。今度のオフは、いつ?」
「巴さんが決めた日が、僕のオフですよ」
「駄目だめ。仕事は真面目にやらなきゃ」
今度、蓮がオフの日に、婚約指輪を買いに行こう。
式場も、探したいです。
五木が聞いたら、驚くぞ。
きっと、祝福してくれますよ。
優しい言葉をささやき合いながら、巴と蓮は幸せなひとときを過ごした。
純白のバラの花々が、そんな二人を眩しく見守っていた。
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