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44.銀世界での戦い

※作中に出てくるシーンはあくまでイメージですので、実際とは異なります。 あくまでこの作品の中のフィクションの場面です。 (この対処法が正しいかどうかも想像を含みますのでご容赦くださいませ) +++ 「あぁ……全く。アイツらが死んでも僕は知らない」 「アルヴァーノ、行けそうか?」 「はぁ……大丈夫だ。あれはまた……動きにくいのに大量にいるな」 雪男との異名を持っているイエティの群れだった。 アイツらは力が強く、岩なども平気でぶん投げてくる。 避けきれなければ致命傷になってしまうだろう。 「じゃあ、僕らもいきますか。一体何体いるんだか……」 一人が暴れだしたせいで奥から奥から魔物が湧いてくる。 雪を掻き分けどんどんとやってくるせいであっという間にそこら中で戦闘が始まってしまった。 邪魔な足元の雪を温熱ブーツで溶かしながら、熱を持った鞭を振るってイエティたちの肌を傷つけていく。 この雪ではリューの動きも制限されてしまうが、適度な距離を保って銃でイエティたちを撃ち抜き、近づいてきたものを僕が傷つけた傷を狙って深くナイフを差し込んでいく。 「ウガァァァッッーー!」 咆哮を上げて怒るイエティたちは、他の場所では斧で腕を切り飛ばされ、炎の魔法で焦がされていく。それでも群れを成して襲いかかってくるので、その腕を寸でのところで躱していく。 「キリがない!一体何体いるんだ?」 「……チッ。一撃で沈めるのは難しい。アリィ!目を狙え」 「了解!リュー、気をつけて!」 僕とリューはお互いに得意な距離を取って、銃と鞭で牽制しながらリューが一体一体トドメを刺していく。 「なぁにチマチマやってんだよぉ!こういうのはな、ドカンと一発やっちまえば……」 「アレは……リュー!アイツを殴って止めないと、魔石が……」 僕も鞭を振るうが、目の前のイエティが邪魔して近づけない。 振るわれる腕を避けるのに精一杯だ。 かといってリューも一人で三体のイエティに囲まれているし……。 リューが左手にナイフを持ち替えて、目の前のイエティの目に突き刺す。 勢いよく引き抜いて地を蹴ると、跳躍しながら右でホルダーから銃を引き抜いて爆発魔石を作動させようとするバカの手元を狙う。 魔石が起動するのと、リューの放った弾丸がその魔石を弾き飛ばすのは同時だったが―― ドォォオン!という爆発音がするのと、その爆発が引き金になって雪崩が起きてしまった。 「な、なんだぁっ!?」 「これじゃ、逃げるのは間に合わな……」 僕が驚いて固まっていると、力強く手を引かれた。 「端へ! あとは何とかもがけ!」 「んな、無茶言われても……」 その間にも雪崩はどんどんと大きくなって襲いかかってくる。 起こした張本人はもう、巻き込まれて見えなくなってしまった。 同じくイエティたちも巻き込まれて、叫び声を上げながら雪崩に飲まれていく。 僕らのところにも覆いかぶさるように雪がものすごい速さで上から襲いかかる。 「うわっ……」 僕の手を引いたまま、リューが手で雪を掻き分けるが雪の方が早い。 同じく真似をしてみるけど、重さと寒さで身体が動かなくなってくる。 「……ック」 僕の身体を必死に抱え込んだリューが、僕と自分の間に空間を作りながら少しジッと雪が収まるのを待つ。 身体が冷えてきても、リューが掴んでいる手は温かい気がした。

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