晶たちはシャワー室を出ると、ベッドの上に座る。 裸のまま、どちらからともなくキスをし始めた。 「晶さん……ずっと、触りたかった」 吐息混じりにそんな事を言われ、晶は顔が熱くなる。晶の頬を包んでいた水春の手が、首筋を撫でた。 「ん……」 晶は肩を震わせる。 「晶さんの肌……柔らかい……気持ちいい……」 キスの合間にそう言う水春は、晶の二の腕や脇腹をさすって、感触を楽しんでいるようだ。 晶は水春の手が、自分の身体を這う感触に敏感に反応し、ヒクヒクと腹筋が震えた。 「晶さんは、色素薄いですよね……綺麗です」 ここも、と水春が晶の胸の突起に触れ、ビクッと晶は息を詰める。 じわり、と下半身から透明な液体が滲み出る感覚がした。 「あ、もしかして、ここ感じます？」 「……っ、ちょ、水春っ」 晶は思わず水春の口を手で塞いだ。 「恥ずかしいから、あんま喋んな……」 「…………嫌です」 「……っ！ や……！」 水春は口を塞いだ晶の手を取って、比較的敏感な腕の内側に舌を這わせる。晶はくすぐったいのとゾワゾワするのとで、声を上げた。 晶は腕を引くと、割と簡単に離してくれて、水春を睨む。 「お前……、……っ！」 水春の顔が近付いたと思ったら、またキスをされた。しかも今度は遠慮なしに舌が入ってきて、晶のそれに強引に絡みつく。 「ん！」 ビクッと、身体が跳ねた。水春の手が、再び晶の胸をいじり始めたのだ。 「……ふ、……あぅっ」 腰の辺りから頭に電流が流れたみたいに、ゾクゾクと身体が震える。唇が解放された晶は、荒い呼吸をしながら、喘ぐだけで精一杯だ。 (くっそ、こんな……余裕ないのは何でだっ？) 何でもない、身体だけの関係相手ならば、むしろ自分が襲う勢いでやれたはず。なのにどうして、と水春の愛撫に翻弄される。 「んっ、んっ、……や、やだ……っ、それいや！」 両方の乳首を指の腹で擦られ、晶はいやいやと首を振る。腰が激しくうねり、ガクガクと震えて意識が飛んだ。 「……っ！ あ……っ！」 震えが止まって意識が戻ってくると、水春がこちらをじっと見つめている事に気付く。その目の静かな欲情に気付き、晶はそれにもゾクゾクしてしまった。 「晶さん……とんでもなくエロい身体してますね。乳首でイケるんですか」 見ると下半身はまだ射精はしていなかった。まだ始まったばかりでこの状態に入ってしまったことに、晶は怖くなる。 「お、俺だって、こんなん、予想してないっ」 「ふーん……それは相手がオレだから、って事で良いんですかね？」 「し、知らねぇよ！」 晶がそう言うと、水春はまた乳首をいじってくる。思わず仰け反って快感の波に耐えていると、また腰が震えて意識が飛ぶ。 「なんか、もっとイかせたくなりますね」 「……っ、やめろ。イキすぎるのもしんどい……」 それじゃあ、と水春は晶の足を広げさせた。手を身体の後ろにつき、恥部を水春に見せる格好になり、何故かそれにもゾクゾクした。 「晶さん、こっちは入れても大丈夫ですよね？」 水春はそう言って後ろに指を当てる。それだけなのに、晶の分身はヒクヒクと震えた。 「なんで、そんな確認みたいな言い方すんだよ……」 「だって、この間浴室で……一人でしてたでしょう？」 気付いてたのか、という言葉は発せられなかった。水春の指が入ってきたからだ。 「あっ、あっ、ああ……っ」 晶は思わず天井を仰ぐ。また意識が遠のきかけ、クラクラする頭を戻すと、水春がまたじっと見ていた。 「晶さんほら、見てください……指、何本入ってます？」 晶は目をつむって首を振る。今見てしまったら、その卑猥さにまたイッてしまいそうだからだ。 「じゃあ、この間は何本入れたんですか？」 ずるり、と指が抜かれてまたゆっくり入れられる。その刺激だけで、晶の腰はガクガクと揺れた。 「あっ、……やっ、……っ！」 『そんなの晶ちゃんじゃない！』 突然母親がまた邪魔しにくる。咄嗟に顔を腕で庇った晶の変化に、水春が気付いた。 「晶さん、オレの質問に答えて」 目の前にいるのはオレです、と水春は後ろへの刺激を強くする。 「い、や……っ！ あぁ！」 晶はまた背中を反らせてイッてしまう。生理的に浮かんだ涙が、晶のまつ毛を濡らした。 でもそのおかげか、母親の言葉に気分が悪くなることは無かった。声も出せずに激しく呼吸を繰り返し、余韻に肩を震わせていると、水春が大きく息を吐いた。 「ホントに、晶さんはエロい身体ですね……」 その声が呆れたような響きだったので、ドキリとする。まずい、今度こそ引かれたか、と晶は青ざめた。 「おかげで、今すっごく楽しいですけど」 続いた水春の言葉に、晶はホッとした。そしてそれが何故か涙腺を、崩壊させる。 晶の涙を見た水春は、やりすぎましたか、と晶の頭を撫でる。 動かしても良いですか、と水春は聞いて、再び指を出し入れし始めた。晶はその刺激に悶えながら、水春を呼ぶ。 「も、いいから、早く来いよっ」 「……分かりました」 晶は水春に横になるように言われ、その通りにする。 水春が粘膜を押し入ってくる。その圧迫感と摩擦に刺激され、晶はまた軽くイッてしまった。 「もう……何回ドライでイッてるんですか？」 本番はこれからですよ、と水春は自身の楔をゆるゆると動かした。 晶はそれに過剰なほどに反応し、頼むから早く終わらせてくれと訴える。本当に、このままだとしんどくて気を失ってしまう。 すると水春は苦笑し、前半にいじめすぎましたかね、とストロークを早くした。 「ああぁっ！ いい！ イク、イ……っ！！」 晶を今までに無いくらいの強烈な快感が襲う。背中が浮くほど仰け反り、手が掴むものを探してさまよう。それに気付いた水春が手を握ってくれたけれど、快感に耐えるために思い切り握ってしまった。 「……っ、すご……、イクと中も良い感じになるんですね……」 イッてる間は止まって待っててくれる水春。しかし再び動き出すと、晶は汗で張り付いた髪も気にせず首を振る。 「も、無理！ 嫌だ……っ！」 そう言ってる間にもまた波が来て、晶はもはや喘ぎ声ではなく叫び声をあげた。 「ん、……晶さん、もうちょい頑張って？」 「水春っ、もうダメっ……イキっぱなしでしんどいっ」 晶が息も絶え絶えに訴えるけど、水春はもう少し、もう少し、と動きを止めない。 水春の息もだいぶ上がっている。終わりが近付いているのが分かるけど、晶にはその余裕が無かった。 「ま、また……っ！ イク……！ ああぁっ！」 ガクガクと身体が震えて、晶は飛んだ意識がなかなか戻らない事に気付く。 (ああ、落ちる……) ホワイトアウトした視界も戻らない。晶はそのまま、ストンと意識を失った。