30 / 289

2 : 12 *

 カナタの首に、赤い痕がいくつも散らされる。  肩を押し返そうとしても、逸物を挿入されたままでは体に力が入らない。 「ふぁ、あ……ん、っ! やだ、だめ、ぇ……っ!」  カナタが身をよじったところで、ツカサは楽しそうに笑うだけ。  そして、カナタが欲しくて堪らない言葉を渡すのだ。 「カナちゃん、可愛いよ」  胸の奥が、キュッと詰まる。  そう言われると、カナタはツカサを許してしまうのだ。  顔を上げたツカサは、どこか照れくさそうに笑った。 「あはっ。カナちゃんの首、凄くエッチ。乱暴された後みたい」 「それは、ツカサさんが……っ。オレの意思じゃ、ないです……っ」 「ごめんね、カナちゃん。……許してくれる?」  整った顔で、ツカサはカナタに許しを乞う。  いくら男が好きというわけではなくとも、ツカサの顔を近づけられては文句を言えない。  カナタは本当に言いたい言葉を飲み込み、ツカサを見つめ返した。 「ずるい、です。今のツカサさんは、オレが怒らないって分かっているような顔を、しています……っ」 「ヤダなぁ、そんなことないよ。いつだって俺は、カナちゃんに好かれようと必死だよ?」  そう言い、ツカサはカナタの腰に手を添える。 「だからいつも、カナちゃんをいっぱい気持ち良くさせたいと思っているよ。セックスが理由で飽きられるのなんて、男としては堪ったものじゃないからね」  カナタの腰を掴むと、ツカサは口角を上げた。 「浮気なんて、絶対に許さないから」  刹那。  ぐっ、と。距離が縮まった。 「はっ、あっ!」  突然再開された抽挿によって、カナタは喉の奥から声を押し出される。 「カナちゃんのナカって、何回ヤッてもキツいから、ホンット最高……っ」 「はぁ、っ、んあ、っ!」 「奥まで挿れると、メチャクチャ気持ちいい……っ。……カナちゃんは? お尻、気持ちいい?」  ぱんっ、と。淫らな音までもが、カナタのことを辱めようとしているようで。  熱い肉棒で何度も内側を擦られながら、カナタは嬌声交じりに静止の言葉を紡ぐ。 「やだ、やっ、だめ……っ! いきなりそんなっ、激しく──ひぅ、んっ!」  しかし、どうしたって主導権はツカサのものだ。 「奥まで突くと、より一層締まってくるよ? カナちゃんは本当に、俺のが大好きなんだねぇ?」 「そんな、わけじゃ──」 「じゃあカナちゃんは、誰に抱かれてもこんなにエッチな反応をするってこと? それは困るなぁ……」  一定のリズムで繰り返されていた動きが、一度だけピタリと止まる。  そして……。 「カナちゃんは俺のカナちゃんだよ。だから、俺以外じゃ絶対に満足させてあげないから」  ツカサの目が、楽しそうに細められた。

ともだちにシェアしよう!