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土曜日の昼だというのに、誰もいない寂れた公園。
公衆トイレがある公園の駐車場に車を停めたツカサは、助手席に座るカナタの後頭部を片手で引き寄せていた。
「ん、っ、ふ……っ」
唾液の絡まる音と、カナタが漏らす吐息。
車内に響く官能的な音に、カナタは体を火照らせていく。
そっと距離を開くと、ツカサは残念そうに呟いた。
「どうせなら、ホテルにでも行けば良かったかなぁ。可愛いカナちゃんを抱きたくて堪らないよ」
「それは、あの……っ。家に着くのが、遅くなっちゃいます……っ」
「そうだよねぇ。それはご両親への印象を悪くしちゃうかもしれないから、可能な限り避けたいなぁ」
ジッと、カナタはツカサを見つめる。
そしてカナタは、実にカナタらしくないことを口にした。
「──ツカサさんの……舐めても、いい……です、か?」
するり、と。カナタの手が、ツカサの逸物をズボン越しに撫でる。
「お尻の中は、駄目ですけど……口の中なら、挿れても……っ」
「それは、俺としては願ったり叶ったりな提案ではあるけど。……いいの?」
「……っ」
数回、カナタは頷く。
緊張と羞恥で震えた手で、カナタはツカサが穿くズボンのチャックを下げ始める。
「うわ、どうしよう。なんか、メチャクチャ興奮する……っ」
「上手じゃ、ないですよ?」
「カナちゃんがシてくれるなら、そんなの関係ないよ。それに、カナちゃんから提案してくれたのが嬉しい」
寛げたズボンから、下着が見えた。カナタはゆっくりと手を伸ばし、下着の中からツカサの逸物を取り出す。
「ツカサさんの、勃ってる……っ」
「『興奮する』って言ったでしょ?」
「言いました、けど……っ」
指先で、遠慮がちに先端を撫でる。そうするとすぐに、ツカサの逸物からは蜜がこぼれた。
「……舐めます、ね?」
カナタは身を乗り出し、運転席に座るツカサの下半身に顔を近付ける。
そのまま、熱く隆起したツカサの逸物に舌を這わせた。
「んっ、くすぐったい……っ。カナちゃん、そんなに恐る恐る咥えなくても大丈夫だよ?」
懸命に舌を這わせるカナタの吐息に、ツカサは体を小さく震わせる。
カナタの頭に手を伸ばし、ツカサは優しく撫で始めた。
「そう、ゆっくり咥えて……うん、上手だね。そのまま根元まで咥えられる?」
「ふぁ、む……っ」
「いいね、上手。カナちゃんのペースでいいから、ムリはしないでね?」
口いっぱいに、ツカサの味が広がる。それは鼻腔をくすぐり、顔を動かす度に鼓膜すら揺さ振った。
頭を撫でるツカサの手が、優しい。しかしまるで逃がすつもりはないかのように、固定をされているようで……。
「車の中で、こんなこと。……カナちゃんはエッチになっちゃったね」
ツカサの指摘は、なにも間違っていない。
いつ誰が来るかも分からない公園の駐車場で、自ら恋人の逸物を咥え込むなんて……以前までのカナタが知ったら、真っ赤になって大泣きするだろう。
だが、今のカナタは『やめよう』とは思えなかった。
──この状況に、興奮しているのはむしろ……。
カナタは不慣れな口淫を懸命に繰り返して、恋人を悦ばせることに尽力した。
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