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「……そうだな。互いのことを知る必要はある」
「やったー!!」
ミッチは喜びながら、ぎゅっとヴォルツの腕に抱き着く。
今までされたことのない行動に、ヴォルツの鼓動は速くなっていた。自身が今どんな気分になっているのか理解が追い付かず、されるがままの状態である。
「おいミッチ。お前だけじゃないってことを忘れるなよ」
「ミッチ、あまり彼を困らせないように。……ヴォルツ、とりあえず座ってくれ」
「分かった」
ミッチの腕が緩み、ヴォルツはソファに腰掛ける。
一人にはまだまだ大きく、もう一人が座れそうになっている。そこへ、ミッチがピタリとくっつくように座る。
ニコリと笑顔を向けられると、思わず視線を逸らしてしまった。次に目が合ったのは、ハインであった。
「そう緊張しなくていい。楽しく話そうではないか」
会話の主導権が完全に彼のものになっていた。だが、ヴォルツのことを最大限気遣っているようで、徐々にヴォルツは落ち着きを取り戻していった。
この日は最後までずっと、ハインに流されるように穏やかな会話をしていたのであった。
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