92 / 367

9-(3)※※(残酷、流血表現あり)

 孕み部屋ならば、好きなプレイを楽しむためにさまざまな玩具がある。ルトもあらゆる玩具を試された、だがここは外だ。あるのは美しい草と花と、なにものにも囚われない晴天と。精液まみれで転がっているのがあまりに場違いなほどの、安らかさがあるだけだ。  濃厚な粘い体液が、喉の奥に張りつき閉じられない口腔も。ルトの小さい拳なら容易に挿入できるくらいがばがばに開ききった後孔も。すべてが悪い夢だと錯覚しそうなほどの。  しばしの幻想に心を奪われていたが幸せな時間は続かなかった。魔術師が消え、獣人の魔の手が再びルトを襲った。  複数の手でこね繰り回されて強制的に腫れあがった乳首に、銀の針がためらいなく貫通した。太い針が身体の中に突き刺さり、ぼとぼと血が溢れ、泣き叫んだ。  あまりの痛みに白い目まで充血して身体が小刻みに痙攣した。だがそこでやめようという善良な神経は、獣人たちはもっていない。  白い肌に、赤い血が滴り落ちる様が見ごたえがあるとか、輪っかを通してどこまで引っ張ったら千切れるかとか、そんなことを笑いながら遂行していた。  千切れたらもうひとつあるから遠慮なくできると。あげく、二つとも使えなくなったらぶらぶら揺れ動くだけの陰茎もあると楽しんでいた。いったいこの小さな身体に、幾つの穴があけられるのかと。  針穴を開けられるたびに見開くルトの目に映るのは、どこまでも続く青空だ。生まれたままの全裸で、自然あふれる大地に寝そべって、広大な天の空を見上げている。  たとえここで嬲り殺されても天から救いの手が伸びて、ルトを高い天空へといざなってくれるかもしれないと錯覚した。数えきれないほど大勢の白濁に穢された肉体が無理ならば、せめて、ルトの魂だけでも。  ルトが守る心は誰にも犯させないルトだけのもの。だから、腐った肉体なんかはいらないものだ。このままどろどろにとろけて自然のなかに消えていけたら、そしたらルトの心は自由になれる。いつでもあの大空へ飛んでいける。そんな夢物語が、叶う瞬間があれば。そうすれば、全身を襲う痛みからも解放されるかもしれない。  意識が遠のくルトに言葉どおり、二つ目の乳首に穴を開けられた、までは記憶に残る。だがその後は思い出そうとすると息が苦しくなって冷や汗が出て、頭のなかが霞がかってぼやけてしまう。 「あぅ……ぁ、ひ…ぃ…ひっ、ひ……っ」

ともだちにシェアしよう!