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「でも僕はルトのこと、すごいと思うなぁ。もともと僕は、誰かとずっと一緒にいたいし、いっぱい遊びたい性格だから。ただ獣人にオモチャにされる毎日なんて、それこそ気が狂いそうだったんだ! ルトに誘われて、今日はすっっごいストレス発散できたんだよ、ほかの子たちも来ればいいのにって思うくらい」 「そうだな俺も。まぁ俺は、運動より合理的に考えるのが得意だけど。でも運動は嫌いじゃないし、なによりこうも毎日、下っ端の娼婦みたいに扱われちゃあな。さすがに気も滅入る。いい気分転換ができたよ。エミルの情報も、なんとなく聞けたし?」  ユージンの隣でラザが激しく頭を振る。よかったらまた誘ってほしいと、ルトを見る三人の両目が細まった。それに便乗して、エミルが目を輝かせた。 「でしょう? ルトってすごいでしょう? ルトはね、ヌプンタを出発した馬車からずっと、僕を守ってくれてたんだから。それにルトに手を握ってもらうとね、すごく幸せになれるんだよ」 「手を握ってもらって幸せって。エミル、どんだけルトが好きなんだよ」 「ほんとになっ」  なぜかエミルの自慢げな表情に、ユージンとラザが声を立てて笑う。パーシーがひとり、人差し指をぴんと立てた。立てた指を左右に振って、したり顔でとどめを刺す。 「わかってないなぁ。僕は初めから気づいていたよ、エミルはルトの信者だってさ。だって、エミルは最初からルトにべったりだったもん。ずっと見てたから、すぐわかったよ」  エミルがルトをとおして安らぐのは、ルトの癒しの力のせいなのだが。誰にも言っていない秘密なので、エミルはルトの信者にされてしまった。  ルトは恥ずかしすぎて居たたまれなかった。けれど彼らになら、いつか、ルトの秘密も打ち明けられたらいい。つられて苦笑したルトは、そんなことを思った。 *** 「先に戻ってるぞ」 「それじゃ、ルト。早く寝なよ」 「無理しちゃだめだよ、おやすみなさいー」 「うん、今日はありがとう。楽しかった。おやすみ」  朱華殿を立ち去って、後宮に入る手前でルトはパーシーたちと別れた。辺りはすっかり闇に染まり獣人もいない。万が一遭遇してもこの暗さだ。外灯があるとはいえ暗闇のほうが多い。このまま闇夜に隠れていれば、気づかれないと思えた。

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