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短期間に繰り返される妊娠出産は、獣人より生命力が劣る、孕み腹の命を縮める行為に等しい。
「陛下もご存じのはず。お願いです、陛下。このまま孕み腹に制限さえ設ける気がないなら、ルトを放っておいてください。ルトたち人間の少年は、罪など犯しておりません。罪を犯したのは彼らの先祖だ。今を生きる少年たちではありません。これ以上の辱めを、お与えにならないでください」
要求を黙殺する皇帝にグレンはなおも言いつのる。言葉を突き進めるたび、黄金の視線が鋭く刺さる。だが引くわけにはいかない。
「人間はすでに罪を成さない。もう虐げていい存在などではありません。今すぐの解放が難しいというのなら、せめて規律だけでも正すべきです。それさえできないなら、悪戯にお手を付けないでください」
食い下がるグレンだが逆に追い打ちをかけられる。聞く耳さえ持たない皇帝の、冷徹な声が響いた。
「余が誰を召そうとそなたに口を出す権限はない。しばらくはあれを使う。あれはなかなか締まりがよい、ラシャドが味を占めるわけか。熟れた蜜のように蕩けて、絡みつくからの。腹奥をうねらせて善がり、許しを乞う姿は一興だったぞ」
「陛下!」
「余を説き伏せるより、そなたも試してみるといい。まだ、そなたの種を注いでやってはおらんのだろう?」
「おやめください、陛下」
「遠慮せずともよい。堅物なそなたまでもが色欲に溺れれば、退屈しのぎの噂の種になるやもしれぬ。さすれば、あれの名声も高まるだろう、孕み腹としてのな」
精鋭兵のラシャドに続き、側近のグレンまで虜にしたルトの具合を、試しに使う獣人が増えるかもしれないと戯れる調子で唆される。
皇帝の根幹を理解しながら、ルトに心を寄せた。そればかりか、忌まわしい人間を庇ったのだ。どんなときでも常に味方だったグレンが。それは皇帝に、裏切りに似た感情を抱かせたかもしれない。
皇帝に罰せられた背中の傷が、再び膿んでじくりと痛んだ気がする。だがこの痛みは必要だ。グレンが乗り越えるべき大きな壁だ。何度失敗しても、どれほど傷が痛んでも。幼き日の誓いを、自らの手で破り捨てても。
道なき道でも前だけを見据え、一歩ずつ進まなければ。グレンの心にはもうすでに、偉大な帝王ではなく小さなルトがいるのだから。
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