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第39話

 歓声がひたりと止んだ。  ひとしずくの夜の闇が一面を支配する。 「よくぞ戻った。空の守護者・ウィルバート大佐」  道が開ける。  真正面。  果てなき群集が割れる。  たった一筋の光が、そこに射すかのように。 「極東より遥々ご苦労。汝の労苦を労おう。 ようこそ、我が神聖プロイセン帝国に」  声が語ったのはニホン語だ。  風が流れた。  耳が痛くなる程の白い静寂。  夜の白い闇で、存在を誇示する輝き。  形良い唇が風にそよいだ…… 「神聖プロイセン帝国 唯一君主 皇帝フランツ・アンドレアス・フォン・プロイセンである」  風が薄く笑った。

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