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束縛と嫉妬と誓い

「アキ? 沢木さん大丈夫?」  沢木はぐったりしてソファーに横になっていて和人は沢木を膝枕している。それも無理矢理寝かせたのは和人だった。 「大丈夫だろ。『運命の番』だしな。マイナス思考の沢木にはあれぐらいがちょうどいいだろう」  アキはテーブルにまだ残っている料理を片付けながら、「あんなに酔っ払った沢木は初めて見た」と言った。  確かに、いつも『私』『桐生様』と呼んでいる沢木が、『僕』と言って『桐生』と呼んでいるのは珍しかった。和人がいたからつられていたのだろうか。 「まぁ、3ヶ月に一度は台風が来ると思っといてくれ」  アキはそういうと僕に、「運命って厄介だな」と呟いた。 終わり  

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