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束縛と嫉妬と誓い
葉山と取り皿やカップを取ってきてリビングのテーブルに広げた。子ども用の料理も頼んであるところが、気が利く和人らしいところだ。
テーブルの上には所狭しと料理が並べられて、車に乗せたままだった食材は桐生の冷蔵庫と冷凍庫を埋め尽くしてしまった。
和人は終始テンションが高くて、準備ができると、「ああ、忘れる前に」と言って折角全員座ったのに立ち上がって出て行ってしまった。
「本当に忙しないな」
桐生はため息をついて、「落ち着きがなくてすまない」と謝った。
「アキとは全く違ってて賑やかで楽しいですよ」
葉山がいうと、「でも、疲れるだろう?」と眉間に皺を寄せた。
「彰は気に入っているようですね」
「まぁ、同じαだし、系統が同じなら懐くだろう」
「系統?」
「ああ。沢木が俺を運命と思ったように、和人兄と運命だったお前が系統が一緒だってことだ。俺がお前を気に入ったのも和人兄とお前が運命の番で、系統が同じだったってことだろう」
運命の番の香りが似た者同士だったからってことだろう。
彰からすれば同じα同士で父親と同じ香だし、僕に懐くのは和人と僕が運命で好みが同じだからだろう。そうすると、和人が葉山を気にいるかもしれない。
「お待たせ」
和人は戻ってくると僕の後ろに回った。
なんだろうと思っていると、首に手が回されて『パチン』と軽い音がした。微かな重みに手で触れると首輪が付けられていた。
「えっ、これ。なんではめたんですかっ」
「え? だめだった?」
「はぁ? 僕、まだいいって言ってないですよ?」
まだ、和人の物になるなんて言ってない。
それなのに白ラインの首を嵌められてしまった。
「俺と結婚して」
「や、嫌ですっ」
立ち上がって振り返る。慌てて否定するけど、「もう、俺のものだから」と桐生に言った。
「ああ、お前のものでいいけど、仕事には差し支えるなよ」
「ち、ちょっと桐生っ」
慌てて首輪を外そうと金具を指でいじるが一向に外せないし、引っ張っても取れない。
「ほら、ひなた座って。ご飯にするよ」
さっさと横に座った和人が、「沢木君」と言い直した。
「もうっ、これ外してください」
「まだ、色々設定してないから外せない」
プランがどうのと説明されたのを思い出して、「なんで、勝手に……」とため息をこぼした。
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