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第1話

ーーーーきっかけは妹が書いた漫画だった。 妹のパソコンを借りようと勝手に画面を開いた途端。 目の前にピンクの光景が溢れだしてきた。 『お尻きもぢいぃっあっあっ♡イク』 黒髪で真面目そうな少年があられもない姿で、色んな男に犯されているではないか。 衝撃的な内容に俺はリアルに目眩がした。 妹が腐女子なのは、知っていたけど、まさか漫画まで書いていたなんて…。 しかも偶然なのか俺の名前だし、心なしか俺に似てるような…。 ジーッと目を凝らして見てみたけど、やっぱり俺に似てる気がした。 き、気のせいか。 見なかった事にしようと、画面を閉じようとした時だった。 「ただいまぁ~」 妹が帰ってきたのは。 俺は慌てて部屋を出ようとしたが、間に合わず部屋の前で鉢合わせしてしまった。 「…お兄。どうして私の部屋に??」 「パッパソコン、借りようとしたんだけどっ。ユノいないみたいだから帰ろうとしてっ」 平静を装うつもりが焦りでどもってしまう。 そんな俺を怪しげに見つめた妹は、 「見たね」 確信めいた口調でそう言うと、俺の手首を掴んで強引に部屋に入れた。 「ユノ。違うんだ。何もみてなっ」 「ばれたなら仕方ないよ、お兄ちゃん♡」 妹が、俺をお兄ちゃんと呼ぶ時は大抵嫌な頼み事をする時くらいだ。 嫌な予感がする。逃げようとした俺の手首を更に強い力で握りしめた妹の顔が、ずいっと近寄る。 「漫画の資料にしたいから、お兄ちゃんと修希くんがイチャイチャしてるとこ、写真撮らせてほしいの♡」 「無理!!やだわ!普通に!!」 修希は俺の親友だ。 整った顔面に高い身長。誰にでも隔たりなく優しい姿に王子様と比喩されることも少なくない優男だ。 家に来ることも多いから、ユノとも仲良しだった。 「なら、お兄が2週間前にお父さんのパソコンで海外のエロどうが見まくって、ウイルス感染させて、故障させたのばらすからね!?」 「なんでしってるの!?」 「で?どうすんの??ヤるのヤらないの?」 「うぅ、、」 思わず言葉につまる。 故障させただけでもやばいのに、壊した理由がエロサイトの見すぎなんてバレたら恥ずかしすぎる。 「ーーっ。やればいいんだろ!やれば!その代わりネットとかにあげんなよ!あと修希が嫌がればやらねーからな!」 「フフ♡約束だからね」 ーーーーーー数日後。 「ってことなんだけど。な、嫌だろ?普通に」 俺は修希を家に誘い、先日起きた出来事を説明していた。隣には妹がニコニコした様子でデジカメを構えている。気が早すぎる。 「…なんで俺なの?」 訝しげな様子で聞く修希に妹が黙っていたので、俺は何気なく答えた。 「さぁ?一番仲良しで、イケメンだからじゃないか?」 「っ。まぁ、別にやってもいいけど…」 「えっ」 「えっっ!いいの?!」 てっきり断るとばかり思っていたので、 予想外の展開に焦る俺とは裏腹に妹は声をワントーン上げて喜んでいた。

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